Topics

特集一覧

  1. HOME
  2. ブログ
  3. ブログ
  4. 地域スモールモデル構築事業
令和5年文化庁委託事業「地域スモールモデル構築事業」タイトル

地域スモールモデル構築事業

2019年度より文化庁委託事業「障害者等による文化芸術活動推進事業」に採択いただき、『鑑賞支援サービス ショーケース&フォーラム』を3年間6会場で開催してきました。この事業は、字幕や音声ガイドを障害のある人たちが舞台作品を鑑賞する際に不可欠なサービス(インフラストラクチャ)として広め、整備することで鑑賞の機会を広めることを目的としていました。

採択事業を3年間取り組ませていただいた結果、60以上の作品や公演に鑑賞支援サービスを提供することができました(2023年1月現在)。一方、実施している地域を見ると、東京、神奈川、兵庫、京都、大阪、愛知、福岡などの都市部が中心で、それ以外の地域への広がりは限られたものでした。

少し前の話になりますが、令和2年度 障害者文化芸術活動推進に向けた劇場・音楽堂等取組状況調査報告書では、主に障害者を対象とした鑑賞事業を「実施していない」と回答した劇場・音楽堂の割合は92.0%でした。障害者の鑑賞機会が拡大してきているという見方を示す専門家がいる一方、それらは法整備が進む前から障害者の鑑賞事業に取り組んでいる団体、あるいは都市部を中心とした日本を代表する規模の実演団体や劇場・音楽堂など、先行モデルの取り組みだけに限定されている可能性が高いように思われます。

92.0%の数字を本気で改善していくためには、障害者も鑑賞できる環境を地方に広めていくことが必須です。そのためには、都市部のモデルを地方に押し付けるのではなく、地方の異なる状況に応じたスモールモデルを構築していくことが必要です。

地域によって劇場や文化芸術のあり方は、さまざまです。都市部と違い、地方劇場では鑑賞支援サービスのための予算や人員を確保できないところもあれば、さまざまな実施方法があるにもかかわらず、その情報を知らない場合もあります。劇場によっては「貸し館事業や買取公演が中心」「そもそも鑑賞事業をほとんど実施していない」というケースもあります。

そこで、2023年度は、地域の劇場にマッチした方法を模索しながら、地域と一緒に鑑賞支援サービスに取り組み、実践を通じて地域人材を育成することで、地域劇場にも障害のある人たちが参加できる環境づくりを広めることを目指す「鑑賞支援サービス 地域スモールモデル構築事業」に取り組ませていただくことになりました。

1年目の地域スモールモデル構築事業は、東北地方の3つの劇場と連携して実施します。本事業の趣旨をご理解いただき、連携いただけることに心より感謝申し上げるとともに、しっかりと地域に知識と技術を残していきたいと思っています。

(連携劇場)
いわき芸術文化交流館(いわきアリオス)
酒田市民会館(希望ホール)
荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)

地域スモールモデル構築事業
文化庁委託事業「令和5年度障害者等による文化芸術活動推進事業」
主催:文化庁、一般社団法人日本障害者舞台芸術協働機構(JDPA)

関連記事