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UDフォントと認証

UDフォントの認証について

2022年に愛知国際アリーナのユニバーサル・デザイン・アドバイザーとして携わる機会を得ました。その際に、UDフォントに関する質問を受けましたので、今回はその内容についてご紹介したいと思います。

質問内容は、施設のサインにUDフォントを採用する予定であるが、公的な認証を受けたUDフォントが存在するのかというものでした。

実は、日本で最初のUDフォントが生まれたのは2006年で、フォントメーカーのイワタと松下電器(現:パナソニック)が共同開発した「イワタUDフォント」だそうです。現在では、モリサワやフォントワークス、タイププロジェクト、モトヤなど、多くのフォントメーカーがUDフォントを提供していますが、これらのフォントが誰によって認証されているのかは当初私自身も正確には知りませんでした。そこで、あるフォントメーカーに電話で問い合わせをし、詳細を教えていただくことにしました。

以下に、その回答の一部をご紹介します。

UDフォントは公的な機関によって認証されているのではなく、各メーカーがUCDA(一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会)などの第三者機関と協力して研究を行い、報告書を作成しています(この報告書がエビデンスとなっています)。また、MUD(NPO法人メディア・ユニバーサル・デザイン協会)などの団体が推奨製品としてUDフォントを認定しているものもありますが、これも公的機関ではありません。

つまり、UDフォントは公的機関によって認証されているのではなく、各メーカーや第三者機関によって「見やすく、わかりやすく、伝わりやすい」というデザイン基準を評価・認証されているのです。

ちなみに、UCDAが定めている「見やすいデザイン」の認証基準は、以下で紹介されています。
「見やすいデザイン」の認証基準 | UCDA認証

また、UDフォント「みんなの文字」は、UCDA、電通、イワタの3社が共同開発したものであり、小さい文字でも読みやすいとして東京都などでも採用されています。このフォントにおける文字の見やすさの基準は以下の通りです。

  1. 視認性: 小さな文字でもくっきりと見えること
  2. 判読性: 文字が劣化しても認識しやすいこと
  3. 可読性: 文字の間隔が密集していても読みやすいこと
  4. 公平性: 視覚の状態に関わらず、誰でも見やすいこと

さらに、このフォントには以下の機能も備わっています。

  • 小さな文字でも字形がつぶれず見やすさを保つ設計
  • 長文でもスムーズに読み進められる文字間隔の確保
  • かすんだ字やにじんだ字でも判読しやすい字形
  • 高齢者や様々な視覚を持つ人々にも認識しやすい仕様

ユニバーサル・コミュニケーション・デザインの観点からも、より多くの人々に伝わりやすいフォントを選ぶことは必要不可欠です。UDフォントは、そのようなニーズに応えるために各メーカーや第三者機関によって評価され、認証されているのです。

以上、UDフォントに関する情報でした。
今回の問い合わせに対して丁寧に教えてくださったご担当者に心から感謝します。

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