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デフスタッフ

音楽でつながり、多様性を讃える

2021年から続く「Beyond Music Festival(通称:ビヨフェス)が、今年も素晴らしい盛り上がりとともに幕を閉じました。ビヨフェスは、「音楽が好きな人なら誰でも参加できる」という理念のもと、音楽フェスティバルの新たな可能性を切り拓いています。詳細については、公式サイトをご覧ください。(公式サイト:https://bm-fes.com)。

さて、ビヨフェスでは毎年、新しい挑戦に取り組んでいるのですが、今年は特に特別な一歩を踏み出すことができました。それは、耳の聞こえない、または聞こえにくい聴覚障害のある方たちをフェスティバルのボランティア・スタッフとして迎えることができたことです。

彼らがスタッフとして協力してくれたことは、非常に意味のあることでした。しかし、このことは簡単なことではありません。例えば、来場者に聴覚障害者がいる場合、彼らはその人たちにとっての専属コミュニケーション・スタッフとして活躍することができます。しかし、私が期待するのは、彼らが専属スタッフにとどまるのではなく、すべての来場者に対して貢献するスタッフになることです。彼らを多様性の象徴としてもマスコットにするのではなく、ぼくらと変わらないスタッフとして活躍してもらうことが重要なのです。

このことを実現するためには、障害のある人たちをフェスの鑑賞者として迎えることと同じように、彼らが活躍できるための環境づくりや工夫、理解を促進していくための専門知識や経験、ノウハウが必要になってきます。

今回、彼らがデフであることを知らせる方法として、フェスティバルでは腕に「デフスタッフ」と書かれた腕章を身につけていただきました。しかし、このアピールはあくまで必要最低限に抑え、会場内に「障害のあるスタッフがいます」といった看板を設置することは行いませんでした。

私の目指す「誰もが参加できる」は、自然体で実現すべきものです。なので、彼らが活躍できるよう工夫は凝らしますが、来場者に対して「彼らに気を遣って欲しい」と受け止められる可能性のあるメッセージを発信するつもりはありません。言葉で啓発的なメッセージを発信するのではなく、会場で普通に活躍するデフスタッフと出会う体験を通じて、多様性を受け入れる態度を醸成していきたいのです。このことがとても重要だと思っています。

当日、彼らは受付やドリンク販売、会場案内、鑑賞支援サービスを担当してくれ、十分にスタッフとしての役割を果たしてくれました。本番終了後には、次のようなメッセージも届けてくれました。

非常に有意義でした。出演者たちもインクルーシブに少しでも触れて動いているのが目に見えてよかったです(これはもっと、社会的に発信してもよいはず)。あと、今回は初の本格的な取り組みということもあったそうですが、他のスタッフと同じ対等で、具体的な打ち合わせを経て、もっと力になり、もっと動きたかったです。「情報知らなかった、来年もやるの? それなら絶対行きたい!」という若いろう者も複数いました!

初めて視覚障害の方とお話ししてみることができました。基本的に視覚障害と聴覚障害とのコミュニケーションは難しいですが、口をゆっくり舌が見えるように、話してほしいと言ったら、そのようにしてくれて、簡単なお話しが出来ました。

去年、字幕メガネ体験をした**くんは、去年よりめっちゃいい!ちゃんとカラオケみたいに黄色になってる!と興奮気味で言ってました。

今回はドリンク担当でしたが、普段接客する仕事はしていないので、いい経験になりました。他2名のスタッフさんも私たちが聞こえないことを理解してくれていて、手話でのコミュニケーションはしませんでしたが、ドリンクの名前がわからなかったら、さりげなくサッと私に手渡ししてくれましたね。箱開けと追加の作業も、スタッフさんと阿吽の呼吸で連携!!この辺りは聞こえなくても状況が読めたら、対応できるところ。できる仕事は沢山あるなと思いますね。一般のデフのお客様も来られて、手話でどれがいい?とコミュニケーションをとると、すごく嬉しそうに選んでましたし、一般の方も私たちが手話で「ありがとう」と表すと「ありがとう」と返してくれたりと皆さんすごく温かかったです。

今回ドリンクの担当をさせてもらって自分が普段できない接客をやらせてもらえてとても有意義な時間になりました!ドリンク担当の健聴の方とも少しお話できたのでとてもよかったです。貴重な経験ありがとうございました!また機会があれば参加させていただきます。

こういったイベントは初めてだったので、色々と勉強させていただきました~。受付で手話対応をさせていただいていたのですが、聞こえる子どもたちと少し対応(写真撮影をお手伝い)した子どもたちから帰り際に手話で「ありがとう」としてくれたのがとても嬉しかったです。

音楽が好きなら誰でも参加できる。この理念は来場者だけでなく、スタッフにも当てはまるものです。来年は、車いすや視覚障害のある方など、さらに多様な人たちと協力し、ビヨフェスを一緒に作り上げていければと考えています。多様性が当たり前になり、音楽とともに共感と絆を築く場所としてのフェスティバルを追求してまいります。

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